「この地球にすんでいる僕の仲間たちへ」 東田直樹 東田美紀

僕たちは、自分の伝えたいことが上手く伝えられない時などに、
両足で飛び跳ねて手をパチパチ叩きます。
すごく悔しくて悲しい心を止められません。
他の人はこういう時そんな動作をしないのに、なぜなのでしょう。
それは、跳ぶと、とてもすっきりするからです。手を叩くと、
すごく気持ちがいいからです。
僕は、どうしてだろう。とずっと考えてきました。
それは、跳んでいる時には、自分の体の部分がよくわかるからだと思います。
手を叩けば、ここが手。飛び跳ねれば、ここが足。というふうに。
みんなは、自分の体のことをよくわかっているかもしれませんが、
僕たちにとって手や足は、自分のものだという感覚があまりありません。
跳ぶと自分の手足の場所が良く分かるので、とても安心するのです。
上に跳んでいる時は、まるで天に飛んで行けそうなくらい心も体も軽くなります。
その間は、自分が人だということも、障害者だということも忘れることが出来ます。
手を叩くとその音で何も聞こえなくなるし、
辛いことから自分を守ることが出来るのです。
『この地球に住んでいる僕の仲間たちへ』 東田 直樹
より
* * * * * * * * * *
今日の帰宅は、まずまず平和。かなりましな方だった。
歓迎ムードが最高潮の時は、玄関を開けたとたん、
奥からダッシュしてきた妻が目の前に登場する。
こんな時の妻は子どもみたいに笑っている。
両手をひらひらさせながら、小さくぴょんぴょん跳びはねていることもある。
この動作、僕はてっきり妻が珍しくはしゃいでいるんだと思っていた。
でも実はこれ、自閉系の人によく見られる、不安や緊張をやわらげるための動作なんだ。
妻はテレビや本でこのことを知って、自分でもやってみたらしい。
「これがね、けっこう効くんだよ! 自分がこうやって動くと、周囲がぼやけるでしょ。
まわりの目まぐるしさとか重圧感がいくらか遠ざかる気がする。
跳ぶとちょっとふわふわして気持ちいいし、安らぐんだ」
そう、これもまた妻なりの、生活の工夫のひとつなんだ。
泉流星
『僕の妻はエイリアン』より
この内容をわたしはとても興味深く読みました。
感動し涙ぐみました。
ほらね、やっぱり不安と緊張が原因なんじゃないか、と。
犬の場合も同じ事が起こっていて
そして周りにいる人たち(飼い主でさえ)は
このご主人と同じように「喜んでいる」と誤解していることが多い。
腰をガクガク振り、尻尾をちぎれんばかりに振る
飛びつく、バクバク走りまわる、
フレンドリーという言葉で片付けてはいけない行動ばかりだと
私は思う。
(hu)
Ranking ランキングに参加しています。
スポンサーサイト